ウクレレ・チューニング表:標準・ローG・バリトン
ウクレレの音周波数・MIDI番号、リエントラント・ハイGとリニア・ローGの違い、バリトンチューニング、代表的な弦径範囲をまとめた表です。
ウクレレのチューニング表とLow-G弦・ハイG弦の音名一覧です。ウクレレのサウンドの個性を決めるのは、ギターとは異なるリエントラント(再入)チューニングです。標準的なソプラノ・コンサート・テナーウクレレは G4–C4–E4–A4(ソ・ド・ミ・ラ)に調弦されます。ここで押さえておきたいのは、演奏姿勢で顎に最も近い4弦が、3弦や2弦よりも高い音になるという点です。4弦のハイG(G4 = 392.00 Hz)は、3弦のC(C4 = 261.63 Hz)と2弦のE(E4 = 329.63 Hz)より上にあり、1弦のA(A4 = 440.00 Hz)だけがそれより高い。弦の並び順と音の高さの順序が一致しておらず、楽器として最も低い音は3弦のC4です。
A4 = 440 Hz を基準とした平均律では、任意の音の周波数は次の式で求められます。
f = 440 × 2^((m − 69)/12)
m は MIDI 番号で、C4 = 60、A4 = 69 です。以下では各チューニングの正確な周波数と MIDI 番号、リエントラントとリニアの違い、ボディサイズ別の代表的な弦径を整理します。
1. 標準Cチューニング(リエントラント・ハイG)
標準チューニングはハイG弦を使います。4弦は指板上で最も手前(演奏者から見て上)に位置しますが、その音高 G4 = 392.00 Hz は3弦 C4 = 261.63 Hz と2弦 E4 = 329.63 Hz の両方を上回り、1弦 A4 = 440.00 Hz だけがそれより高いという配置です。
| 弦 | 音名 | オクターブ | 周波数(Hz) | MIDI番号 | ピッチ関係 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4 | G(ハイG) | G4 | 392.00 | 67 | 1弦(A4)の長2度下 |
| 3 | C | C4 | 261.63 | 60 | 中央ハ。楽器の最低音 |
| 2 | E | E4 | 329.63 | 64 | 3弦の長3度上 |
| 1 | A | A4 | 440.00 | 69 | 演奏会ピッチの基準 |
楽譜表記では gCEA の小文字の g がハイGを表します。この弦は中央ハより下ではなく、第4オクターブで鳴るという意味です。
リエントラント配置がコードにもたらすもの
小さなウクレレの胴では、強い低音の基音を支えられません。リエントラントのボイシングはコード構成音を C4 から A4 の狭い範囲に詰め込むため、かき鳴らしたコードに鈴のような明るい響きが生まれます。開放Cコード(0003)では G4、C4、E4、C5 が鳴り、最も低い音は C4 = 261.63 Hz です。つまりどのコードを弾いても、和音はほぼ同じ狭い帯域に収まります。ここにローGを加えると、同じフォームで G3、C4、E4、C5 が鳴り、実際の低音を持つ第2転回形のCコードになります。
2. ローGチューニング(リニア上行)
ローGは4弦をより太い弦(多くは巻弦)に替え、1オクターブ低い G3 = 196.00 Hz に合わせます。ピッチは4弦から1弦へ向かって上行するようになり、中央ハの5半音下まで音域が広がります。
| 弦 | 音名 | オクターブ | 周波数(Hz) | MIDI番号 | 標準Cからの差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4 | G(ローG) | G3 | 196.00 | 55 | −12半音(−1200セント) |
| 3 | C | C4 | 261.63 | 60 | 変化なし |
| 2 | E | E4 | 329.63 | 64 | 変化なし |
| 1 | A | A4 | 440.00 | 69 | 変化なし |
ローGは指弾きやジャズに向いています。低音域が加わり、下降するフレーズが途切れずにつながります。ただし巻弦のローGは、ナット溝が広がっていないと収まらないことがあります。
3. ハイGとローGの使い分け
同じ GCEA という名前でも、ハイGとローGでは楽器の性格がはっきり変わります。どちらかが優れているという話ではなく、弾きたい音楽で選びます。
- ハイG(リエントラント) は、コード構成音が密集するため、ストローク中心の伴奏で明るくまとまります。ウクレレらしい軽快な響きはこちらです。
- ローG(リニア) は、低音が和音の土台を作るため、メロディとベースを同時に弾くソロ指弾きで力を発揮します。ギターに近い響きになります。
コードフォームそのものは両者で共通です。指の押さえ方を変える必要はありません。ただしコードの響きは変わります。ハイGでは4弦がコードの一番高い音になることが多く、ローGでは逆に最も低い音を担当します。たとえばGコード(0232)は、ハイGなら4弦の G4 が最上声になりますが、ローGでは G3 が加わって低音が締まります。コードブックを見て「思ったより低く響かない」と感じたら、ハイGかローGかで解釈が変わる点を思い出してください。
ローGに交換した直後は、4弦が太くなるぶんナット溝とブリッジの当たりが変わります。ピッチを上げる前に弦が溝を滑らかに通るか確認し、無理に締めないようにします。
弦の順番の混乱は、チューナー画面と楽器の向きが一致しないことからも起こります。チューナーは物理的な弦の順(4弦が上)でカードを並べますが、頭の中では低音から順に並べたくなります。ウクレレでは「4弦が一番高い」のではなく「4弦は2番目に高く、最低音は3弦」と覚えると、番号と音高を取り違えにくくなります。
4. バリトンウクレレチューニング(DGBE)
バリトンはウクレレ族で最も大きく、スケール長はおよそ19〜21インチです。標準ギターの高音側4弦と同じ D3–G3–B3–E4 のリニア上行で調弦します。
| 弦 | 音名 | オクターブ | 周波数(Hz) | MIDI番号 | ギター対応 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4 | D | D3 | 146.83 | 50 | ギター4弦相当 |
| 3 | G | G3 | 196.00 | 55 | ギター3弦相当 |
| 2 | B | B3 | 246.94 | 59 | ギター2弦相当 |
| 1 | E | E4 | 329.63 | 64 | ギター1弦相当 |
音程の並びがギターと一致するため、ギター経験者はすぐに慣れます。バリトンはリエントラントではなく、4弦がそのまま最低音になります。
5. 主なチューニング早見表
| チューニング | 4弦 | 3弦 | 2弦 | 1弦 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 標準C(ハイG) | G4 392.00 | C4 261.63 | E4 329.63 | A4 440.00 | リエントラント。明るく密集した和音 |
| ローG | G3 196.00 | C4 261.63 | E4 329.63 | A4 440.00 | リニア。低音域が加わる |
| バリトン(DGBE) | D3 146.83 | G3 196.00 | B3 246.94 | E4 329.63 | リニア。ギターに近い |
| Dチューニング(A D F# B) | A4 440.00 | D4 293.66 | F#4 369.99 | B4 493.88 | 標準より全音高い |
Dチューニングは20世紀初頭のアメリカで一般的だったピッチで、こちらもリエントラントで、A4 が D4 より高くなります。
どのチューニングでも、弦の番号は演奏者から見た物理的な並びで数え、4弦が最も手前に来ます。音の高さの順序とは別物なので、番号だけで音域を想像しないようにします。
6. 代表的な弦径範囲
弦径はボディサイズ、スケール長、材質で変わります。ウクレレ弦のセットに世界共通の規格はないため、以下は一般的なメーカー基準値です。
| ボディサイズ | 4弦 | 3弦 | 2弦 | 1弦 | 代表的な材質 |
|---|---|---|---|---|---|
| ソプラノ(標準C) | .024 – .028 in | .032 – .036 in | .028 – .032 in | .022 – .025 in | クリアナイロン/ナイルガット |
| コンサート(標準C) | .025 – .028 in | .033 – .038 in | .029 – .032 in | .023 – .026 in | ナイロン/フロロカーボン |
| テナー(ローG可) | .030 – .036 in(巻弦) | .035 – .040 in | .030 – .033 in | .024 – .028 in | 巻4弦+モノフィラメント |
| バリトン(DGBE) | .035 – .042 in(巻弦) | .030 – .034 in(巻弦) | .030 – .034 in(プレーン) | .024 – .026 in(プレーン) | ナイロン芯に銀メッキ銅巻 |
精度・限界・トラブルシューティング
ウクレレは音が小さく弦も細いため、読み取りの誤りはオクターブの取り違えと隣弦の鳴り残しに集中します。
- チューナーがオクターブを表示しない。 スマートフォンのチューナーは音名だけを表示し、ハイGもローGも同じ「G」と出ることがあります。ウクレレチューナーには標準C・ローG・バリトンのプリセットがあり、目標オクターブが固定されます。
- 4弦を誤ってG3まで下げてしまう。 4弦をG3まで落とすと弦が緩んでビビり、音も暗くなります。緩くて鈍いと感じたら1オクターブ低すぎるので、G4 = 392.00 Hz まで戻します。
- 新しい弦が落ち着かない。 ナイロンやナイルガットの弦は最初の1〜2日は伸びます。10分で30セント下がるのは異常ではなく、通常の挙動です。
- 1弦をA5に合わせてしまう。 目標は A4 = 440.00 Hz です。1オクターブ上は 880 Hz で、ナイロン弦は切れてしまいます。
- 湿度。 相対湿度がおよそ40%を下回ると表板が沈み、調弦が狂いやすくなります。45〜60% RH を保つと安定します。
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| ハイGとローGの区別がつかない | 音名だけを見てオクターブを確認していない | プリセットを使い、低い側から合わせる |
| 4弦が緩くビビる | 1オクターブ低いG3になっている | G4 = 392.00 Hz まで上げる |
| 合っても数分で下がる | 新しい弦の伸び、またはブリッジの結び目 | 伸ばして合わせ直し、結び目を確認する |
| 音名の間で表示が揺れる | 隣の弦が鳴り残っている | 残り3本の弦を手でミュートする |
関連ツール
- ウクレレチューナー:標準C、ローG、バリトンのプリセットを切り替えられます。
- ウクレレの調弦法:ペグの扱いと弦の伸び対策を手順で解説しています。
- クロマチックチューナー:プリセットにない変則チューニングも音名を直接読み取れます。
- ギターチューニング表:バリトンと同じDGBEの並びを6弦で確認できます。