初心者のギター調弦法
アコースティックやエレキギター初心者のための段階的調弦ガイド。ペグの仕組み、弦の順番、一度弾いて待つコツ、目標音へ上げて合わせる方法を解説します。
初心者向けギターチューニングのやり方と音合わせの基本をマスターすることは、毎回の楽器練習で美しい響きを得るための第一歩です。アコースティックでもエレキでも、開放弦が狂っていると正確に押さえたコードでも不協和で濁って聞こえます。
マイク式デジタルチューナーを使えば、調弦は機械的フィードバックループになります。開放弦を1本弾き、ピッチが低いか高いかを読み、対応するマシンヘッドを回し、表示が中央で固定するまで繰り返します。
1. 弦の順番と目標音を知る
ギター弦は細い方から太い方へ 1〜6番 と数えますが、調弦は逆に、太いローEから細いハイEへ向かって進めます。
| 弦 | 音名 | 周波数(A4 = 440 Hz) | MIDI | 隣の弦との音程 |
|---|---|---|---|---|
| 6(最も太い) | E2 | 82.41 Hz | 40 | 完全4度、5半音 |
| 5 | A2 | 110.00 Hz | 45 | 完全4度、5半音 |
| 4 | D3 | 146.83 Hz | 50 | 完全4度、5半音 |
| 3 | G3 | 196.00 Hz | 55 | 長3度、4半音 |
| 2 | B3 | 246.94 Hz | 59 | 完全4度、5半音 |
| 1(最も細い) | E4 | 329.63 Hz | 64 | 最高音の弦 |
2本のE弦は2オクターブ離れています。82.41 Hz × 4 = 329.64 Hzとなり、0.01 Hzの差は公表値の丸めによるものです。太い方から細い方へ(6→1)の語呂合わせは、英語圏では Eddie Ate Dynamite, Good Bye Eddie が有名です。日本では「ミ・ラ・レ・ソ・シ・ミ」(6→1の音名)と覚えると便利です。
標準調弦は完全4度を積み重ね、G弦とB弦の間にだけ長3度を置きます。この1か所の3度が、開放コードの形を4本の指で押さえられる形にしています。
2. 段階的チューニング手順
ステップ1:弦からペグをたどる
マシンヘッドに触る前に、ブリッジからナットを越えてヘッドの特定ペグへ至る物理的な弦を目でたどります。画面で別の弦を見ながら違うペグを回すことこそ、初心者の弦切れ原因ナンバーワンです。ローEのペグを少しだけ回し、ピッチがどちらへ動くかを確かめてから、残りの5本に触れます。
ペグの向きと減速比
マシンヘッドはボタンの回転を減速して弦ポストへ伝える構造で、ボタンを何回も回してようやく弦ポストが1回転します。ボタンのわずかな動きがピッチを大きく動かすことはありません。慌てて大きく回す必要はなく、1〜2度ずつ動かして表示を確認すれば十分です。
回す向きはヘッドの形状で変わります。片側に6個並ぶタイプでは各ペグが同じ向きに回り、左右3個ずつに分かれるタイプでは左側と右側で巻き上がる向きが逆になります。迷ったら、弦が緩む向きへ少しだけ回し、ピッチが下がることを確かめてから本番の調整に入ります。
ステップ2:しっかり弾いて鳴らす
ピックや親指で適度な力で開放弦を弾きます。機関銃のように連続で弾かないこと。連続弾きはアタック過渡音の連続バーストを送り込み、ピッチ検出を混乱させます。一度弾いたら2〜3秒鳴らしたまま、ギターチューナーの表示を観察します。
ステップ3:針を読む
- マイナスセント/フラット(針が中央左): 弦の振動が遅すぎます。ペグを締めてピッチを上げます。
- プラスセント/シャープ(針が中央右): 弦の振動が速すぎます。ペグを緩めてピッチを下げます。
- 合っている(許容範囲内で緑表示): その弦はピッチ通りです。既定の許容範囲はプラスマイナス3セントで、プラスマイナス1セントと5セントも選べます。
ステップ4:必ず目標音へ上げて合わせる
これはギターメンテナンスの黄金律です。目標音へ下げて合わせるのは厳禁です。
弦がシャープしている場合、ペグを回してピッチを目標音より少なくとも半回転分下げ、そこからゆっくり上げて合わせます。
上げて合わせると、ウォームギア・弦ポストの巻き・ナット溝の機械的遊びが張力の向きに揃います。下げて止めると、最初の強いストロークで遊びがナットをすり抜け、弦は即フラットに落ちます。
ステップ5:低音から高音へ、そして二巡目
6弦(ローE)から1弦(ハイE)へ順に合わせます。太い弦の張力を変えると木製ネックがわずかにたわみ、他の弦のピッチも動くためです。6〜1弦を終えたら、全6弦をもう一度素早く確認します。調弦が落ち着くのはこの二巡目です。
ステップ6:弾く前にオクターブを確認する
ある弦の12フレットのハーモニクスを鳴らし、次に同じ弦を12フレットで押さえて弾きます。この2つは同じ高さに聞こえるはずです。フレット音のほうが高い場合、その弦のイントネーションがずれています。ペグをどう回しても、ネックの高い位置で押さえるコードは改善しません。サドルやトラスロッドを調整するセットアップの仕事です。
弾く姿勢のまま合わせる
調弦は、実際に弾く姿勢のまま行います。ギターを膝の上に寝かせて合わせると、抱えたときのネックのたわみ方が変わり、ピッチが数セント動きます。ストラップを使う立ち姿の演奏なら、立ち姿勢で合わせるのがいちばん正確です。
弦が古いと合わない
くすんだ音がして、合わせてもすぐに狂う弦は、張力に耐える余力がなくなっています。エレキのスチール弦は通常の練習量で数週間、汗をかく季節や演奏時間が長い場合はもっと短い期間で交換の目安を迎えます。交換直後はステップ2の伸ばし作業から始めてください。
エレキギター チューニングのコツ
エレキギターのチューニングのやり方は、アコギと同じ手順です。違うのは音の出し方だけです。アンプにつながずにチューナーへ近づけて弾くか、アンプを使う場合はクリーン設定の小さめの音量にします。歪みをかけた状態は倍音が増えて判定が乱れるため、チューニングは必ずクリーンな音で行ってください。ネック側のピックアップを選び、トーンを少し絞ると基音が素直に出ます。チューナーはマイク入力のオンラインタイプで十分で、シールドやオーディオインターフェースは不要です。
3. よくある初心者の誤り
- 他の弦を鳴らしたままにする: 4弦を合わせようとしているときに5弦が振動していると、マイクは両方の基音を含む合成波を拾います。弾かない弦は手のひらで軽く触れてミュートしましょう。
- ブリッジ際で弾く: ブリッジ近くで弾くと、基音エネルギーの弱い耳障りな高倍音が出ます。アコースティックはサウンドホールの真上、エレキはネックピックアップの上で弾きます。
- ナットでの弦の固着: ペグを回すときに「ピンッ」という音がしてピッチが突然20セント跳ねたら、弦がナット溝に噛んでいます。柔らかい鉛筆の黒鉛をナット溝に擦り込むと接触点が潤滑されます。
- オクターブエラーを追いかける: ローEを合わせているのに表示がE3(164.81 Hz)を指すなら、その弦は1オクターブ高すぎます。いったん下げて、低い側からやり直します。
- 新しい弦を伸ばさない: 張りたての弦は張力下でなじみます。ピッチに合わせたら、12フレットの位置で各弦を指板から1〜2 cmそっと持ち上げ、また合わせる作業を3〜4回繰り返します。
精度・限界・トラブルシューティング
チューナーの不調の多くは、楽器ではなく周囲の音か検出器の限界から来ます。
- 部屋の騒音が弦と競合します。 検出器は最も強い周期的信号を追うので、扇風機やテレビ、他の楽器が読み取りを乗っ取ることがあります。合わせていない弦は必ずミュートします。
- 弱いローEはオクターブエラーを起こします。 スマートフォンのマイクはローEを主に倍音で捉えるため、基音が小さいと表示がE2ではなくE3に落ち着くことがあります。針だけでなく音名と周波数を読みます。
- 安価なアプリはセント表示を隠します。 半音単位でスナップし、数字なしで緑ランプだけを出すアプリも多くあります。セント表示と明瞭度(clarity)の数値があれば、その読みを信用してよいか判断できます。
- 調弦とイントネーションは別物です。 開放弦が完全でも、12フレットのフレット音は高くなることがあります。これはセットアップの問題で、ステップ6のオクターブ確認で見つけます。
- 平均律は妥協の産物です。 どの調でも使えるように合わせたギターは、どの調でも完全には合いません。合奏が別の基準を使っていない限り、A4 = 440 Hzに合わせます。
関連ツール
- ギターチューナー:EADGBEの目標値、セント表示、明瞭度ゲートを備えています。
- ギターチューニングチャート:音名・周波数・変則チューニングを1つの表で確認できます。
- 耳でギターを合わせる方法:画面なしで合わせる5フレット法とハーモニクス法です。
- クロマチックチューナー:ドロップチューニングなど、標準プリセットの外側の音に使います。