波形ジェネレーター|倍音で音色を作る

16個の倍音の音量をスライダーで調整し、独自の波形を作る加算式シンセサイザーです。矩形波・ノコギリ波・三角波などの定番プリセットと聴き比べながら、倍音構成が音色と波形形状をどう変えるかを体験できます。フーリエ加算合成の基礎から音響特性まで、ブラウザ上で直感的に音作りと波形観察を行えます。

操作パネル

耳を守りましょう。小さい音量から始めてください。聞こえないからといって音量を上げないでください。表示はdBFS(デジタル基準の相対値)であり、SPLではありません。

使い方

フーリエ級数の係数をWeb AudioのPeriodicWaveに変換し、倍音ごとの振幅を操作して帯域制限された波形をリアルタイム合成します。サンプルレートによるエイリアシングを防いだ状態で再生します。基本周波数はスライダーと数値入力で設定可能です。

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    倍音スライダーを動かすと、その場で音色と波形表示が変わります。まずプリセット(サイン、矩形、ノコギリ、三角、トーンホイールオルガン)を選び、そこから一部の倍音だけを動かすと、音色の変化を聴き分けやすくなります。

    同じ音程でも倍音の構成比が違えば別の楽器のように聞こえます。スペクトラムアナライザーやオシロスコープと並べて使うと、倍音と波形の関係を視覚的にも確認できます。

    基本周波数を設定します。スライダーで40〜1000 Hz、数値入力欄で20〜2000 Hzまで調整でき、A1〜A5のプリセットボタンでオクターブ跳躍も即座に行えます。

    ツールバーの補助機能で効率的に音色を整えられます。「全クリア」で倍音をゼロにリセット、「奇数のみ」「偶数のみ」で特定倍音系列を一括抽出、「ランダム」で減衰傾斜を持った偶発的な倍音構成を生成できます。

    音量スライダーで出力レベルを決め、「再生」を押します。キャンバスには理論波形と実測波形が重なって描画され、発音中のスライダー操作も即座に音色へ反映されます。

    フーリエ級数と基本波形の倍音スペクトル表

    周期的な音響波形は正弦波の総和として展開できます。代表的な幾何学波形(矩形波・ノコギリ波・三角波)は、含まれる倍音の種類(奇数倍音のみか全整数倍音か)と振幅の減衰比率によって固有の音色と波形を形成します。

    本ツールの16本の倍音スライダーにおける各基本波形の理論構成は次のとおりです。

    幾何学波形におけるフーリエ級数展開と倍音スペクトル特性
    波形プリセット含有倍音振幅減衰則減衰率聴感上の特徴
    サイン波第1倍音のみ1.0(単一波)倍音なし純音。倍音を一切含まず柔らかい
    矩形波奇数倍音のみ4 / (n × π) ≒ 1/n-6.0 dB/oct中空で太くエッジの効いた電子音
    ノコギリ波全整数倍音2 / (n × π) ≒ 1/n-6.0 dB/oct倍音豊富で最も明るく鋭い音色
    三角波奇数倍音のみ8 / (π² × n²) ≒ 1/n²-12.0 dB/oct高次倍音が極めて微小で丸い響き

    倍音減衰比とデシベル換算(1/n則 vs 1/n²則)

    倍音振幅が周波数とともにどう減衰するかは、音色の明るさを決める物理的な指標です。振幅比のデシベル換算は 20 × log10(振幅比) で算出されます。

    矩形波とノコギリ波の「1/n則」では周波数が2倍になるごとに振幅が半減し、約-6.0 dB/octで減衰します。第2倍音は-6.0 dB、第4倍音は-12.0 dB、第8倍音は-18.1 dBとなり、高域まで明瞭なエネルギーが残ります。

    対照的に三角波の「1/n²則」は周波数2倍で振幅が1/4(-12.0 dB/oct)と急峻に減衰します。第3倍音で約-19.1 dB、第5倍音では約-28.0 dBまで落ちるため、聴感上はサイン波に近い柔和な響きとなります。

    楽器プリセットの倍音構成比(オルガン・ブラス・ベル)

    幾何学波形に加えて用意された3種の音色プリセットは、実機や管弦楽器の音響構造を模した倍音比率を備えています。

    • トーンホイールオルガン:ドローバー機構に準拠し、h1(1.0)、h2(0.8)、h3(0.6)、h4(0.7)、h6(0.4)、h8(0.3)、h10(0.15)、h12(0.1)を組み合わせ、厚みのある和音感を作ります。
    • ブライトブラス:1/n^0.8の緩やかな傾斜で高次倍音を強調し、偶数倍音を約10%抑えて金管楽器特有の張りのある輝きを再現します。
    • メタリックベル:h1〜h4に加え、高次の奇数倍音(h7・h9・h11・h13・h15)をまばらに配置して非調和風の金属的な残響を生み出します。

    Web Audio PeriodicWaveの帯域制限とナイキスト周波数

    デジタル環境でエッジの鋭い波形を合成する際、サンプリング周波数の半分(ナイキスト周波数)を超える成分は可聴域へ折り返されてノイズ(エイリアシング歪み)になります。

    Web Audio APIのPeriodicWaveは帯域制限ウェーブテーブルを生成し、ナイキスト周波数(48 kHz環境で24 kHz)を超える倍音を自動的に減衰させます。基本周波数220 Hzでは全16倍音が安全に鳴りますが、2,000 Hzまで上げると24 kHzを超える高次倍音は自動遮断されます。これは音質をクリアに保つための正常な設計です。

    音色設計の実践とモニタースピーカーの再生限界

    音作りを習得するには、サイン波に第2倍音や第3倍音を少しずつ足し、単なる和音から一体の「音色」へと脳が知覚を統合する変化を観察するのが有効です。

    ただし、スマートフォンの内蔵スピーカーは150 Hz以下の低音を正しく再生できず、A1(55 Hz)などでは歪みや脱落が起こります。低域の倍音バランスを正しく確認する際は、密閉型モニターヘッドホンやオーディオインターフェースでの試聴を推奨します。

    よくある質問

    フーリエ加算式合成とは?

    任意の周期的な波形は、基本周波数の整数倍の正弦波の足し合わせで作れるというフーリエ級数に基づく合成方式です。各倍音の振幅を変えることで自由に音色を設計できます。

    矩形波がブザーのように聞こえるのはなぜ?

    矩形波は基本波に加え、奇数倍音(3倍、5倍、7倍…)を1/nの振幅で含むためです。高次の奇数倍音が鋭いエッジを作り、ブザーやレトロゲームのような音色になります。

    同じ音程なのに楽器で音色が違うのはなぜ?

    2倍、3倍…の倍音のバランス(スペクトル)と立ち上がりの速さが異なるためです。バイオリン・トランペット・フルートが同じドを出しても別の楽器に聞こえるのはこのためです。

    エイリアシングは起きませんか?

    Web AudioのPeriodicWaveは帯域制限された波テーブルを内部で生成するため、高い倍音を含む音を高音域で再生してもデジタル折り返し歪みが起きにくい設計です。

    高い周波数で一部の倍音が鳴らないのはなぜ?

    サンプリング周波数の半分のナイキスト周波数(48 kHz環境で24 kHz)を超える成分は、折り返し歪みを防ぐため自動遮断されます。正常な動作です。

    三角波と矩形波の音色が大きく異なる理由は?

    どちらも奇数倍音のみですが、減衰比率が矩形波は1/n(-6 dB/oct)、三角波は1/n²(-12 dB/oct)と異なり、三角波の高次倍音は極めて微小なためです。