DTMFジェネレーター|電話のプッシュ音を再現
電話のキー操作音(ツー・トーン)を忠実に再現するDTMF信号ジェネレーターです。0〜9、*、#に加えて、交換機や軍用網で使われたA〜Dキーにも対応。押したキーの周波数ペアをログで確認でき、IVRや自動応答システムのテストに使えます。
操作パネル
耳を守りましょう。小さい音量から始めてください。聞こえないからといって音量を上げないでください。表示はdBFS(デジタル基準の相対値)であり、SPLではありません。
使い方
ITU-T Q.23で規定された低域群(697 / 770 / 852 / 941 Hz)と高域群(1209 / 1336 / 1477 / 1633 Hz)から1音ずつ、2つの正弦波を同時に生成します。押下ごとに実際の発信音をその場で合成します。
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キーパッドをクリックすると、そのキーに対応する2つの正弦波が同時に鳴ります。長押しすると音が持続し、番号を続けて入力すれば実際の電話番号のように再生できます。イベントログには押したキーと周波数の組み合わせが記録されます。
実機の電話網では高域がケーブルで減衰しやすいため、業務用エンコーダーは「ツイスト補正」として高域を2〜4 dB持ち上げ、交換機に届く時点で低域と高域の音量が揃うようにしています。
ITU-T Q.23規格 DTMF周波数マトリクス一覧
DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency:プッシュホン信号)はITU-T勧告Q.23で国際規格化された通信信号方式です。キーパッドの各ボタンは低周波数群(行:Low Group)の4波と高周波数群(列:High Group)の4波が交差するマトリクス構造となっており、ボタン押下時に2つの正弦波が同時に合成出力されます。
2音方式を採用した音響工学的理由は、人間の声による交換機の誤作動(トークオフ現象)を防ぐためです。声帯構造では非整数倍の純音を2波同時に発声できません。さらに低群(697〜941 Hz)と高群(1209〜1633 Hz)の間に268 Hzのガードバンドが設けられ、和積や差積の高調波歪みが信号帯域内に干渉しないよう極めて精密に設計されています。
| 低群\高群 | 1209 Hz(列1) | 1336 Hz(列2) | 1477 Hz(列3) | 1633 Hz(列4) |
|---|---|---|---|---|
| 697 Hz(行1) | キー 1 | キー 2 | キー 3 | キー A(最優先) |
| 770 Hz(行2) | キー 4 | キー 5 | キー 6 | キー B(即時優先) |
| 852 Hz(行3) | キー 7 | キー 8 | キー 9 | キー C(優先) |
| 941 Hz(行4) | キー * | キー 0 | キー # | キー D(通常優先) |
DTMFタイミング仕様とシーケンス送出レート
交換機やIVR装置の受信要件はITU-T勧告Q.24およびRFC 4733に規定されています。信号の検出には一定の持続時間が必要であり、規格上トーン発信時間および無音休止間隔は最低40ミリ秒以上確保されていることが正常認識の必須条件です。
本ツールの「シーケンス発信」機能では、番号列を入力して自動連続再生できます。検証用途に応じて以下の3段階の送出速度プリセットを選択可能です。
| 速度プリセット名 | トーン送出時間 (ON) | 休止間隔 (ポーズ) | 1文字所要時間 | 送出レート (目安) | 検証用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| 高速(Fast) | 70 ms | 50 ms | 120 ms | 約 8.3 文字/秒 | 高速自動ダイヤル検証 |
| 標準(Standard) | 120 ms | 80 ms | 200 ms | 約 5.0 文字/秒 | 標準IVR・PBX受付 |
| 低速(Slow) | 200 ms | 150 ms | 350 ms | 約 2.9 文字/秒 | ノイズ回線・低速認識 |
音響検証・VoIP環境における注意点とトラブルシューティング
DTMFジェネレーターは電話機器開発、IVR応答シナリオ検証、VoIP音声経路チェック、無線レピーター制御等で利用されます。実機試験時の要点を整理します。
- クリッピング歪みの防止:Web Audio APIによる合成時、音量が過大で波形がクリップすると奇数次高調波が発生し、デコーダーが別キーとして誤読します。音量は50%前後の適正レベルで測定してください。
- ツイスト(Twist)特性:電話回線では高周波ほど減衰が大きいため、電話機側で高群を低群より1.5〜4 dB高く送出する「フォワードツイスト」が施されます。過度な減衰によるデコードエラーに留意してください。
- VoIP環境でのインバンド伝送破綻:G.729等の高圧縮音声コーデックを経由すると正弦波の位相や周波数が崩れます。VoIP網で確実にDTMFを通すにはRFC 4733パケットイベント方式を使用してください。
- アコースティック結合の音量:受話器マイクにスピーカーを密着させる際は反響や外部雑音による誤読を防ぐため、静かな室内で適切な音量に調整してください。
- A・B・C・Dキーの特殊用途:家庭用電話にはないA〜Dキーは、米軍AUTOVON網の通話優先権制御や電話局内の中継交換・保守制御コマンドとして定義された歴史的機能です。
よくある質問
DTMFとは何ですか?
Dual-Tone Multi-Frequencyの略で、1963年にベル研究所が開発した電話の信号方式です。キーごとに低域と高域から1つずつ、計2つの周波数を同時に鳴らして数字を伝えます。
なぜ2つの音を使うのですか?
単一の周波数だと人間の声や口笛で誤動作しやすく、通話中に交換機が勝手に反応する「トークオフ」が起きます。声帯は異なる2つの純音を同時に出せないため、2音の組み合わせは誤動作しにくいのです。
A・B・C・Dキーとは?
4×4マトリクスの4列目(1633 Hz)に割り当てられた制御用キーです。家庭用電話にはありませんが、軍用のAUTOVON網や電話局で回線の優先制御などに使われました。
5キーの周波数は?
770 Hz(行2)と1336 Hz(列2)の組み合わせです。受信側はバンドパスフィルターでこの2音を検出して数字を判別します。
何に使えますか?
IVR(自動音声応答)メニューのテスト、電話機やVoIPアダプターのキー入力確認、DTMFデコーダーの検証などに使えます。
信号の送出時間(トーン長)や休止時間(ポーズ長)の規格基準は?
ITU-T Q.24規格では、交換機が確実に検出するために最低40ミリ秒のトーン送出時間と40ミリ秒以上の休止間隔が規定されています。本ツールのシーケンス送出機能では、標準(120 ms発信/80 ms休止)や高速(70 ms/50 ms)など実用的な規格値を忠実に再現しています。