タイミングブラインドテスト|遅延を聴き分け

左右の微小な時間差やステレオ遅延を聴き分けられるかを判定する、無料のタイミングブラインドテストです。同じ音をわずかにずらして重ねたとき、2つの音として分離するか、1つの広がった音に融合するかの知覚の境界(ハース効果・先行音効果)や、コムフィルターによる音色変化を二項検定で客観的に測定します。40 msから2 msまでの遅延を有線ヘッドホンでお試しください。

操作パネル

耳を守りましょう。小さい音量から始めてください。聞こえないからといって音量を上げないでください。表示はdBFS(デジタル基準の相対値)であり、SPLではありません。

使い方

元信号と指定ミリ秒だけ遅延させた信号をA・Bとして提示し、ABX試行の正解率を二項検定で評価します。短い遅延ではコムフィルタリングによる音色変化が手がかりになります。すべてブラウザ内でリアルタイムに処理します。

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    クリック音では5〜10 ms、音楽や会話では35〜50 ms付近を境に、2つの音として分離し始めます。それより短い遅延では音は融合し、空間的な広がりや「コムフィルター」特有のこもった音色として聞こえます。

    ドラムのマルチマイク録音では、マイク間の数msのズレが位相干渉を生み、音色を変えます。このテストで時間分解能の感度を把握しておくと、録音時のマイク位置調整に役立ちます。40 ms、20 ms、10 ms、5 ms、2 msの各ステップで耳を試せます。

    鋭いクリック音を大音量で連続聴取すると耳に負担がかかります。快適な小さめの音量に設定し、疲労を感じたらすぐに休憩してください。本テストは聴覚訓練用であり、診断用ではありません。

    遅延時間とコムフィルター干渉周波数・空間距離一覧

    音波が遅延して加算されると、周波数領域において強め合いと打ち消し合いが周期的に繰り返されるコムフィルタリング(櫛形フィルター現象)が発生します。打ち消し合いが生じるノッチ周波数はfn = (2n - 1) / (2τ)で表され、隣り合うノッチの間隔はΔf = 1 / τとなります。

    気温20℃(音速343 m/s)の空気中における伝播距離換算、および本テストのプリセットにおける物理的・聴覚的特性の一覧は以下の通りです。

    音速343 m/sにおける距離換算は、空間内で左右のスピーカーから耳に到達する音波の行路長差(パス長差)に相当します。例えば2 msの遅延差はわずか69 cmの距離差に相当し、デスクトップモニタースピーカーの僅かな配置ズレが耳元でコムフィルターを引き起こす物理的根拠となっています。

    各遅延ステップにおけるコムフィルターノッチ間隔と空間伝播距離
    遅延設定ノッチ間隔 (1/τ)第1打ち消し点 (1/2τ)音速343m/s換算距離聴覚上の知覚特性
    2 ms (Micro-timing)500 Hz250 Hz約0.69 m微細な音色変化。スピーカー間の微小な時間差に相当
    5 ms (Subtle shift)200 Hz100 Hz約1.72 mクリック音で微小な左右の定位の偏り・幅感の拡張
    10 ms (Comb filtering)100 Hz50 Hz約3.43 m顕著なコムフィルター(中低域のホロウ感・フランジング様音色)
    20 ms (Haas widening)50 Hz25 Hz約6.86 m初期設定。ハース効果による明確なステレオ空間の広がり
    40 ms (Echo threshold)25 Hz12.5 Hz約13.72 mエコー閾値超過。左右で明確に2回鳴る個別クリック音として認知

    ハース効果のメカニズムと波長干渉の数理

    人間の聴覚における両耳間時間差(ITD)の知覚限界は数十マイクロ秒ですが、同一音の遅延加算においてはハース効果(先行音効果)が支配的になります。遅延時間τが約1〜35 msの範囲内では、脳の中枢聴覚路が2つの音を1つの音像として統合し、空間的な広がりや先行音側への定位の引き寄せを生み出します。

    本テストで提示される刺激音は、1 kHzの正弦波を急峻な指数関数エンベロープ(時定数1.25 ms、式e^(-800t))で減衰させた8 ms幅のバンドパス・インパルス信号です。サンプリング周波数44.1 kHzにおいて2 msは88サンプル(約1.995 ms)、40 msは1764サンプル(40.000 ms)、48 kHz環境では2 msが正確に96サンプルに対応し、デジタル領域で厳密に合成されます。

    短時間の遅延(2〜10 ms)では音像の分離ではなく音色の変化(コムフィルタリング)が主要な手がかりとなり、20 msを超えるとステレオ音像の広がり、40 msでは別々のクリック音としての認知へと知覚モードが遷移します。二項検定では5回中5回(p = 0.0313)または10回中9回(p = 0.0107)の正解で有意水準に達します。

    片耳にのみ遅延音を与えるステレオ条件は、両耳間時間差(ITD)による頭内定位の移動を生み出し、時間差弁別の感度を最大限に高めます。

    ステレオ遅延測定時のトラブルシューティング

    OSや再生環境のモノラルミックス設定:OSのアクセシビリティ設定で「モノラルオーディオ」が有効になっていると、左右の時間差情報が消失し、左右チャンネルが足し合わされてしまいます。必ずステレオ出力が正常に行われていることを確認してください。

    空間オーディオやバーチャルサラウンドの無効化:Dolby Atmos、Windows Sonic、Apple空間オーディオなどの頭部伝達関数(HRTF)プロセッサーは、左右のチャンネル間に独自の遅延とクロスフィードを強制的に付加します。テスト中は必ずすべての立体音響機能をオフにしてください。

    Bluetoothレシーバーの左右同期ズレ:完全ワイヤレスイヤホンの一部では、左右間の通信同期の乱れにより数ミリ秒の不均一な遅延が発生する場合があります。シビアな2 msや5 msのテストでは有線ヘッドホンが最も推奨されます。

    クリック音試聴時の聴覚保護と安全基準

    トランジェント音のピーク音量への注意:インパルス的なクリック音は実効値(RMS)に対してピーク値が高いため、音量を上げすぎると内耳の感覚細胞に衝撃的なストレスを与えます。静かな環境で、適度な小さめの音量から開始してください。

    連続試行による時間知覚の疲労:短いインターバルでクリック音を聴き続けると、脳の時間分解能が一時的に低下し、判定のブレが大きくなります。10〜15回の試行ごとに休憩を取り、リフレッシュした状態で再開してください。

    医療上の注意:本テストは聴覚の時間分解能のトレーニングを目的としたツールであり、聴覚障害や神経疾患の診断を行うものではありません。

    よくある質問

    ハース効果(先行音効果)とは?

    1〜35 ms以内に届いた2つの音を脳が1つの音として融合し、早く届いた方向に定位する現象です。

    2つの音に分離して聞こえるのは何msから?

    鋭いクリック音では約5〜10 ms、持続的な音楽や会話音声では約35〜50 msが分離して聞こえる知覚の境界(エコー閾値)の目安です。

    コムフィルタリングとは?

    遅延した音と元の音が混ざると、f = 1/遅延時間の周期で位相が打ち消し合い、特定の周波数が欠けた独特のこもった音色になる現象です。2〜10 msの遅延で顕著になります。

    なぜヘッドホンでの受検が推奨されるのですか?

    スピーカー再生では部屋の壁面や床からの初期反射音が加わり、テスト信号本来のステレオ時間差と干渉して正確な判定ができなくなるためです。

    制作現場でのマイクアライメントにどう役立ちますか?

    ドラムやギター録音で複数マイクを使う際、数msの時間差が低域の位相干渉を招きます。本テストで微小遅延の音色変化を把握しておくと、位相調整の精度が上がります。

    モノラル再生でテストを行うとどうなりますか?

    左右の時間差情報が消失し、左右の広がりではなく単なるコムフィルター干渉による音色変化のみになってしまうため、必ずステレオで受検してください。